Category: グラフで見る日本の現状と将来

【特集】グラフで見る日本の現状と将来:(8)エネルギーと環境の両立に向けて~風力発電~

「エネルギーと環境の両立」のキーワードで最後に見て行きたいのは、風力発電です。これも太陽光発電と同じく「新エネルギー」の一つで、「2010年度に新エネルギー割合3%以上!」を達成するためには無くてはならないエネルギー源になります。これら「新エネルギー」は、エネルギー自給率の向上や地球環境対策に資するばかりでなく、今後の経済成長を支える重要な産業としても、今後益々注目を集めることになるでしょう

日本は風力発電の世界ではまだ途上国?!

風力発電は、開発可能な量だけで人類の電力需要を充分に賄える資源量があるとも言われています。世界全体で少なくとも約72TW(テラワット)が風力によって発電可能とされ、これは世界全体の電力需要量(14TW)の約5倍に相当します。まずはグラフ1で現状を確認すると、世界の風力発電導入量は、ここ10年で10倍以上に伸びてきており、今後も25%前後の成長が予想されています。一方、その25%のままに伸びても、2010年時点で190GW程度の導入量であり、前述の72TWとも言われるキャパシティから見ると、まだまだ成長の余地がありそうです。


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さてこの風力発電、太陽光発電と比較しても、夜間でも発電可能であったり、発電効率が高かったりといった利点がある一方、出力電力の不安定・不確実性や、周辺環境への影響から、特に設置場所の選定には注意を要するため、それもあって世界の中でも地域間で普及度合いにバラつきが見られます。グラフ2(グラフ右下の「2」をクリック!)でそれを確認すると、米国、中国のような広大な国土を持つ大国のほか、ドイツ、スペインをはじめとした欧州各国の名前が上位に並んでいます。一方、日本は導入量世界13番目でシェア1.5%程度、この位置はここ数年でも変化はしていません。

次にグラフ3(グラフ右下の「3」をクリック!)で、地域毎に見た、今後の導入量予測を見てみます。これまで圧倒的な導入量を誇っていた欧州がその順調な成長を続けながらも、北米、アジアがそれをさらに上回る大きな成長率で、導入量を伸ばして行く予想になっています。特にアジアの成長は顕著で、毎年年間導入量を伸ばしながら、2013年には総導入量でも欧州に並ぶとのこと。中国、インド等既に上位に位置する大国が、この成長を牽引すると考えられるものの、同時に日本の成長も期待されるところです。

エネルギーと環境の両立、さらに経済成長を目指して

グラフ4、5で、日本の現状とトレンドについて、個別に見てみます。まずはグラフ4が、日本での導入量と導入基数になります(なお、グラフ4は3月末締の年度データであるため、暦年ベースのグラフ1とは異なる点に注意)。ご覧のように、日本でも導入量、導入基数共に、その成長のペースは早いものの、それでもここ数年は、その前10年と比べると成長速度が弱まっています。事実、2007年度の成長率は12.4%で、世界規模での成長率25%程度より緩やかな数字です。

グラフ5(下記グラフ右下の「2」をクリック!)は、日本での風力発電設備の導入元を、国産と海外産に分けて見ています。ご覧の通り、圧倒的に海外からの輸入が多く、これがコストの変動や導入までの期間等とも絡み、日本での普及が比較的遅れている一つの要因になっているかも知れません。


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さて、今回も含め、これまで3回に亘り「エネルギーと環境の両立」をキーワードに、原子力発電、さらに太陽光発電や風力発電のような新エネルギーについて、 現状とトレンドを見てきました。これらの分野は、上記「エネルギーと環境の両立」をいう大きな目標達成に不可欠な分野であると同時に、今後の経済を支える重要産業としての位置付けでも、今後益々重要になってくると思われます。

最後にグラフ6(上記グラフ右下の「3」をクリック!)にご注目ください。世界風力エネルギー協会(WWEA: World Wind Energy Association)の予想によると、風力発電業界の雇用者数は、2005年から2008年まででほぼ倍増、2008年から2010年にはそこから1.5倍と、新しい雇用創出が予想されています。本コラムの前半で提起した様々な雇用問題も、一番の解決策は新しい雇用を創り出すことである事実を考えても、エネルギー、環境、経済成長の3本柱のバランスを取るための新エネルギーへの投資を促進するような政策を、今後もスピード感を持って打ち出して欲しいと思います。



Data source: World Wind Energy Association (http://www.wwindea.org/home/images/stories/worldwindenergyreport2008_s.pdf)、Global Wind Energy Council(http://www.gwec.net/fileadmin/documents/Publications/Report_2008/Global_Wind_2008_Report.pdf)、NEDO(http://www.nedo.go.jp/library/fuuryoku/index.html)

【特集】グラフで見る日本の現状と将来:(7)エネルギーと環境の両立に向けて~太陽光発電~

エネルギーと環境の両立という題材について考える際、第一に連想するエネルギー源は、太陽光発電、風力発電をはじめとした新エネルギーになるのだと思います。「新エネルギー」とは、「自然のプロセス由来で絶えず補給される太陽、風力、バイオマス、地熱、水力などから生成される「再生エネルギー」のうち、その普及のために支援を必要とするもの」との定義で、具体的には、大規模水力を除いた中小水力、太陽光発電、風力発電等を指しています。これら新エネルギーは、エネルギー自給率の向上や地球温暖化対策に資する貴重なエネルギーとして、官民挙げてその普及に取り組んでいるのは周知の通りです。

目標は2010年度に新エネルギー割合3%以上!

日本は、現在1次エネルギー供給に占める新エネルギーの割合(水力、地熱を除く)は約2.0%にとどまっていますが、政府はこの比率を、2010年度には3.0%程度にまで引き上げる目標を設定しています。実際の拡大のイメージをより明確に持つために、具体的なエネルギー源毎に、2005年度時点の実績と、2010年度の目標数値を見比べてみます。下記グラフ1と2で、両者を比較してみてください。


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上記2つのグラフは、新エネルギー導入目標の中でも、発電分野の目標に限定して見ています。発電分野合計で、2005年度実績の330.9万kLを、2010年にはその約2.5倍の838万kLに引き上げる計画になっています。さらに、これに熱利用分野も加えた、新エネルギーの供給合計は、1,160万kLから1,910万kL、対1次エネルギー比で2.0%から、3.0%程度への向上を目指しており、政府はこの目標達成のために、自治体、事業者、NPO等に向けた様々な支援を行っていく予定です

さて、この中でも注目の新エネルギーは、2005年度比で2010年度にはそれぞれ約3倍に利用を拡大していく予定の、太陽光発電と風力発電です。以降、まず今回は、5年で3.4倍に拡大する計画となっている太陽光発電について、これまでの実績も含めて簡単に見て行きたいと思います。

ソーラー・ニッポンの復活に向けて

まずは日本の現状について、太陽光発電協会発表の数字をベースに、下記グラフ化しています。

はじめにグラフ3で示しているのが、太陽電池出荷量とその仕向け地別出荷量の推移で、四半期ベースで多少のバラつきはあるものの、基本的には上昇基調を辿っているのが見て取れます。例えば、2008年度の第3四半期までの総出荷量は876.24MWと、前年同期比で37.5%の増加となっています。一方で、仕向け地別に見ると、海外向けの伸びに比べて、国内向けが2005年度くらいを境に、非常に弱い動きとなっているようです。何故なのでしょうか?


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グラフ右下の「2」のボタンをクリックして、グラフ4をご覧ください。国内向け出荷の減少の要因を探るために、日本国内向けの用途別出荷量について見てみると、産業用は、低水準ながら、年度ベースで一定の水準を保っている一方、住宅用の減少が目立ちます。事実、2005年度の約305MWに対して、2007年度は約210MWと、産業用が同期間に微増(31.7MW→32.2MW)していることを考慮すると、国内向け出荷量減少のほぼ全てを説明できることになります。これは2006年度に政府が家庭用発電装置の補助金を打ち切ったことが主な原因と考えられ、普及促進に向けての政策的後押しの重要性を確認できます。

これらが影響したのか、グラフ5(グラフ右下の「3」をクリック!)のIEAのデータで、主要国の太陽光発電導入量を比べると、日本は右肩上がりの導入が進んでいるものの、ドイツでの急速な普及で、2004年から2005年にかけて、それまでの世界1位の地位を譲っています。

以上の状況や、オバマ大統領後のアメリカを中心に世界的に高まる環境への関心を踏まえ、日本でも新たに政府が動き出しています。

1つの鍵は、ドイツでの普及の鍵ともなった、余剰電力の買取制度だと考えます。現在は、一般家庭などで太陽電池パネルで発電した余剰電力は、1キロワット時あたり約24円で電力会社が自発的に買い取られていますが、経済産業省は今後、それを同約50円、10年程度での購入の義務付けに向けて、新制度の導入の方針を打ち出しています。先週3月18日の経済財政諮問会議でも、麻生首相自らが「日本は太陽光発電や電気自動車の分野で世界をリードすべきだ」と伸べるなど、ソーラー・ニッポンの復活に向けて、今後の政策的後押しが期待されるところです。

→関連vizlog記事:【特集】グラフで見るニュースとトレンド:(4)めざせソーラーにっぽん!~太陽光発電の将来性と、それを取り巻く日本企業に注目する~(2009年3月27日)



Data source: 資源エネルギー庁(http://www.enecho.meti.go.jp/index_pamph.htm)、太陽光発電協会(http://www.jpea.gr.jp/04doc01.html)、IEA(http://www.iea-pvps.org/products/download/rep1_17.pdf

【特集】グラフで見る日本の現状と将来:(6)エネルギーと環境の両立に向けて~原子力発電~

アメリカでの約30年ぶりの新規建設決定、イギリスでの20年ぶりの新規建設促進への方向転換など、原子力を見直す動きは今や世界的なトレンドとなり、関連企業のグローバルな規模での合従連携が続いています。日本でも、「原子力立国計画」(資源エネルギー庁)の中で、「エネルギー安定供給と地球環境対策の切り札」として、原子力の必要性が強調されており、今後益々注目を集めて行くことでしょう。今回は、この原子力発電について、地球環境対策、エネルギー安定供給の両面を中心に、グラフとともに見て行きたいと思います。

日本での環境対策の必要性と原子力

まずは、日本で今「地球環境対策の切り札」が必要な理由について、簡単なグラフを用いて見てみます(コラムの末尾に記載の「vizlog」サイトよりピックアップしています)。


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UNFCCCより

ひと目見てお分かりの通り、日本は京都での目標達成に向けて、大変苦しい状況にあります。これには発電源の要因だけでない様々な要因が考えられますが、前回コラムに引き続き、京都の目標達成に向けても比較的順調な欧州の国々を参考にするならば、原子力発電の有効活用は1つの大きな選択肢になるはずです。なお、1kWh当たりのCO2排出量は、石炭火力の0.975kg-CO2、石油火力の0.742kg-CO2に対して、原子力は0.022~0.025kg-CO2(電力中央研究所報告書より)と、その地球温暖化抑制の観点での優位性は顕著です。


エネルギー安定供給に向けて

前回コラムでも触れましたが、日本はエネルギー自給率が低く、今後の中国、インド等新興国のエネルギー需要の急激な拡大を睨んでも、安定的なエネルギー源の確保は至上命題です。 さて、この「エネルギーの安定供給」を考える際、各資源自体の埋蔵量と、調達元としてのその産出国について確認し、各資源と産出国・地域に関してリスク分散をすることが、1つの重要な視点だと思われます。グラフ1~3で、石油、ウラン、天然ガス(LNG)について、これらの点を確認してみます。


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グラフ1、3:「BP統計2008」、グラフ2:「URANIUM 2007」より

グラフ1、さらにグラフ3(グラフ右下の「3」をクリック!)から明らかな通り、石油、LNG共に、中東と欧州・ユーラシア地域がかなりの埋蔵量を握っており、中でも石油に関しては、日本は約90%を中東からの輸入に依存しています(2007年度)。一方で、ウランに関しては、グラフ2(グラフ右下の「2」をクリック!)の通り、欧州・ユーラシアに続き、アジア・オセアニア地域やアフリカ地域も、それなりの埋蔵量を持っており、逆に中東の名前はここには見られません。やはり、地域分散と言う観点から、さらには可採年数を見比べても、「エネルギー安定供給」に向けての原子力の重要性がここで見て取れるかと思われます。


日本の原子力政策

最後に、日本の原子力政策の現状と今後の課題について、2つのグラフを基に簡単に見てみたいと思います。 


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グラフ4:電気事業連合会、グラフ5:原子力安全基盤機構より

まずは、発電電力量構成比の見込みについて、グラフ4で見てみます。ご覧の通り、政府は、今後約10年弱の期間の間に、発電電力量に占める原子力の割合を、40%以上にまで段階的に引き上げて行く方針のようです。また、「原子力立国計画」 の中にも、「2030年以後も発電電力量の30~40%程度以上」との基本目標が明記されており、中長期で見た日本の基幹電源としての原子力の重要性は、今後益々増していくことになるのでしょう。

さて、最後にグラフ5(上記グラフ右下の「2」をクリック!)を見て、1つの大きな課題を洗い出します。日本の原子力発電所の設備利用率は、特に2003年以降、欧米各国と比べて大きく見劣りします。これは、2002年8月に発覚した東電の点検記録改ざん問題や、2004年8月の関電美浜3号機の破損事故が大きな発端となっていますが、ここから明らかな課題は、安全への深い配慮と地域住民との信頼関係醸成の必要性です。今後、「エネルギー安定供給と地球環境対策の切り札」としての原子力の有効活用を進めていくにあたり、高い安全性の継続的確保と、原子力発電そのものに対する理解の向上に関して、益々の努力を積み重ねることが求められます

次回は、同じく「エネルギー安定供給と地球環境対策」の観点から、新エネルギーに関して見て行きたいと思います。

(このグラフと記事は、gooマネー・コラム『グラフで見る日本の現状と将来』向けに、提供させていただいているものです。)

Data source: UNFCCC(http://unfccc.int/2860.php)、BP統計(http://www.bp.com/productlanding.do?categoryId=6929&contentId=7044622)、電力事業連合会(http://www.fepc.or.jp/library/publication/pamphlet/pdf/enekiso08_09.pdf)、原子力安全基盤機構(http://www2.jnes.go.jp/unkan/pdf/2007/02_6.pdf)、

【特集】グラフで見る日本の現状と将来:(5)エネルギー消費と環境問題-日本の現状を探る

オバマ米国大統領の唱える『グリーン・ニューディール』が大きなきっかけとなり、今世界で環境、エネルギー問題が改めて注目を集めています。その政策は、単に地球環境を守るという視点に止まらず、金融危機後の新たな産業、そして雇用創出のための大きな柱のひとつとして位置付けられているだけに、少なくとも今後数年のグローバルな最大関心事項の一つとなるでしょう。本コラムでも、これから全4回で、環境、エネルギー問題に関して、日本を中心に見て行きたいと思います。

日本のエネルギー需給の現状

第1回の今回は、まず日本のエネルギー需給の現状とトレンドに関して、主に資源エネルギー庁の「2006年度におけるエネルギー需給実績(確報)」を参考に、グラフを交えて見てみたいと思います。


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まず2006年度における日本の最終エネルギー消費は、合計15,977PJ(原油換算で413百万kl)、前年比では-0.2%となっているものの、1990年度比では+15.0%の増加となっています。上記グラフ1から明らかな通り、特に、家庭や第3次産業の事業所内での消費を表わす民生部門での伸びが最も大きく(1990年度比+37.6%)、産業部門の+2.5%と比べても、明らかに全体の伸びを牽引しています。工場等でのエネルギー効率アップや省エネ対策に比べ、家庭や事務所での省エネは十分ではないということなのでしょう。

次にグラフ2(グラフ右下の「2」をクリック!)で、1次エネルギー供給源を見てみます。特徴としては、全体の中で石油の比率が減少する一方、それを補う形で石炭、天然ガスの重要性が増加しています。特に天然ガスは、2006年度に供給合計22,699PJ(原油換算586百万kl)のうち3,746PJ、16.5%を占めるに至り、1990年度の10.7%から大きく上昇しています。一方、原子力は、その比率自体は上昇しているものの、年によって(例えば2002年度~2003年度)多少の上下が見られます。これはご存じ、検査不備や事故等で発電所停止の期間があった影響と考えられます。

結果、グラフ3(グラフ右下の「3」をクリック!)のように、日本の石油依存度は2006年度に47.1%と、過去最低となっています。一方で、石油への依存が下がっても、エネルギー自給率自体にはあまり変化がない、と言うのが、ここ15年くらいのトレンドです。


日本の今後の方向性を占う

次に、1次エネルギー供給源について、世界の主要各国との比較で、日本の特色と課題を考えてみたいと思います。下記、日本、アメリカ、フランス、ドイツについて、IEA(国際エネルギー機関)の数字をグラフ化しながら見てみます(IEA集計のため、前述資源エネルギー庁の数字とは若干異なっていますのでご了承ください)。


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グラフ右下の「1」~「4」をクリックしながら、グラフ4~7を見比べてみると、日本の特色がある程度浮き彫りになってきます。簡単に挙げてみると、


・「石油」の比率が依然として高いこと、
・その比率が圧倒的なフランスを除いて、「原子力」の比率が比較的高いこと、
・「天然ガス」の比率も、アメリカ、ドイツとの比較でまだ低いこと、
・風力、地熱、太陽光発電含めた「その他」の比率が、低水準な中でも最も低いこと、

あたりが主な特色のようです。

これらの特色に、今後益々高まる環境への配慮の声を考慮に入れて、これからの日本の方向性を考えてみます。一言でまとめるならば、もともと発熱効率が良いとされる天然ガスの比率上げ、風力、太陽光発電の益々の促進、同時に安全性を重視しながらの原子力の有効利用を通して、今後も引き続き石油の比率を少しずつ下げて行く、ということになるのでしょう。これは、環境への配慮、という点のみならず、エネルギー自給率の向上や、中東石油への依存からの脱却と言う面で、エネルギー安全保障にも繋がる、日本にとって有効な方向性であると思います。

以上、全体の大きな方向感が見えてきたところで、次回以降は、さらに詳しく、個別のエネルギー源について見て行きたいと思います。

(このグラフと記事は、gooマネー・コラム『グラフで見る日本の現状と将来』向けに、提供させていただいているものです。)

Data source: 資源エネルギー庁(http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/jukyu/result-1.htm)、IEA(http://www.iea.org/Textbase/stats/index.asp

【特集】グラフで見る日本の現状と将来:(4)景気悪化と雇用-若者の雇用と将来の日本

さて、雇用に関するトピックも今回が最終回です。これまでのポイントも踏まえながら、日本の将来を担う、20前後から30代前半の若者の雇用の現状について、データとグラフを見ながら考えてみたいと思います。

不況の最大の被害者は実は若者?

昨年来の雇用不安が高まる環境の中で、「ハケン切り」と並んで注目を集めたのが、企業による内定取消しの問題でした。事実、厚生労働省も、非正規職員の問題同様、昨秋より毎月のように調査結果を公表しながら、その動きと影響について注視しています。まずは、この厚生労働省が発表している内定取消し動向の数字から、見て行きたいと思います。


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はじめに、グラフ1を見ながら、これまでの推移を確認してみます。1997年度、つまり1998年3月卒の新卒学生の内定取消しが目立ちますが、ちょうどこの時期は、1998年度に日本の実質GDP成長率が過去最低のマイナス1.5%を記録するなど、現在同様経済が低迷した時期でした。ただそれ以降は水準も大きく下がり、特にここ4年間は、年間100人以下で落ち着きを見せています。

一方、グラフ2(グラフ右下のボタンをクリック!)でここ4ヶ月間の推移を見てみます。2008年11月からたったの4ヶ月間で、一気に内定取消し判明者が増加しています。グラフ1と2は若干集計方法が異なる(グラフ2はハローワークで指導中のものも含むなど)とのことで、単純比較は出来ないものの、その水準、スピードを見ると、昨年来のこの問題の大きさを改めて確認することが可能です。これまで見た「ハケン切り」同様、若者、内定者が、不況時の企業の人員調整弁として使われているようにも見えます。この点について、もう少し詳しく見てみます。

グラフ3(グラフ右下のボタンをクリック!)に注目してください。バブル崩壊後の経済低成長の中で、世代間の失業率のギャップが広がってきており、特に15~24歳、25~34歳の中長期での失業率上昇と、その振れの大きさが目立ちます。おそらく、正社員の解雇が困難な日本的雇用慣行の中で、企業側も止むを得ず、新卒採用人数の調整や、最悪のケースで今回のような内定取消し等の若者の人数調整を通して、企業全体の雇用人数の調整をしてきていたように見えます。

もちろん、若者の失業率上昇には、働き方の変化等、別の要因もあるのでしょう。例えば、グラフ4(グラフ右下のボタンをクリック!)を見ると、同様の若者世代の中で、非正規職員比率が特に上昇して来ていることが見て取れます。ただ、これも若者個人の意志で決めた場合もある一方で、正社員の雇用減や派遣社員の積極活用など、企業側のニーズによって促された部分も大きいのではないでしょうか。


活力ある社会の形成を目指して 

下のグラフ5からも明らかな通り、そもそも日本の若者は、人数自体も、またその総人口に占める割合も、ここ10年以上減少の一途を辿っています。その事実だけでも、日本の将来に不安を抱くには十分ですが、さらにその世代が上記のような雇用の問題を抱えているとすると、彼ら/彼女らは生活不安から益々子供を産みにくくなるなど、日本全体が負のスパイラルに陥ってしまう可能性が大いに危惧されます。企業の側にとっても、若い世代の職員が少ないことは、スキルやノウハウの伝承の面のみならず、新しい発想、新しい戦略を生み出していく、その原動力を欠くという点で、大きな問題になるはずです。 


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最後にグラフ6(グラフ右下のボタンをクリック!)をご覧下さい。国連の人口推計から、日本と欧州主要国の数字を抜き出してグラフ化したものですが、日本の雇用にまつわる多くの問題の重要性が、このグラフに集約されているように思えます。

日本は今後、長期に亘って主要国の中でも格段に速いペースで、全体の人口が減少します。若者に正規雇用や社会保障等で安心感を与えて出生率の上昇を目指すことは重要ですが、それだけではこの減少のペースを緩やかにこそ出来ても、全体のトレンドを変えることは出来ません。雇用と言う面で、この人口減の時代に備えるには、若者にスキル、ノウハウを伝えて生産性の向上を促したり、派遣や契約社員を安定的、かつ効果的に活用できる仕組みを整えたり、日本人だけでは足りなくなる労働力を外国人労働者で上手く補って行ったりと、様々な方策について考えて行かなければなりません。そういった意味で、これまで全4回で取り上げてきた雇用の問題は、全てが互いに密接に関わっており、こういう時だからこそ、それらの問題と真剣に向き合うきっかけになればと考えております。

次回以降は、将来に対する別の問題である、環境、エネルギーの問題について、引き続きデータとグラフを用いて考えて行きたいと思います。

(このグラフと記事は、gooマネー・コラム『グラフで見る日本の現状と将来』向けに、提供させて頂いているものです。)

Data source: 厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/houdou/index.html)、総務省(http://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi352.htm)、国連(http://esa.un.org/unpp/

【特集】グラフで見る日本の現状と将来:(3)景気悪化と雇用-見捨てられる?外国人労働者

昨年来の金融危機と100年に一度とも言われる不況の中、これまで見てきた「ハケン切り」等の問題の影に隠れて、見失いがちな問題がいくつかあります。第3回となる今回は、その中でも特に外国人労働者の問題について、データとグラフを見ながら、考えて行きたいと思います。

「ハケン切り」の外国人労働者への影響

今回の不況と「ハケン切り」を始めとした雇用不安の中で、実際に外国人労働者がどれほど大きな影響を受けたのか、いくつかのメディアで個々の話題としては取り上げられてはいますが、具体的な解雇人数等の数字は特に公開されていません。ただ、いくつかのデータから、その影響の深刻さを推し量ることは可能であると思います。

早速グラフ1と2(グラフ右下のボタンをクリック!)を見てください。外国人労働者の勤務地は、南関東(東京含む)と東海に固まっており、特に派遣・請負といった雇用形態で働いている外国人労働者は、実にその4割が東海地方で働いていることが見て取れます。前回のコラムを読んでいただいた方の中にはピンと来る方もいらっしゃると思いますが、実はこの東海地方が、今回の「ハケン切り」の中で最も大きな影響を受けた地域で、地域別雇止め人数の実に26.5%がこの東海地方に集中していました。

グラフ3(グラフ右下のボタンをさらにクリック!)で産業別の外国人労働者数を見ていただいてもお分かりの通り、製造業従事者の割合が大きいことも考え合わせると、「ハケン切り」に伴う外国人労働者への影響の大きさを推し量ることが出来ます。


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(データは2008年10月末時点)

国籍別に見てみると、グラフ4(グラフ右下のボタンをさらにクリック!)の通り、日本で働く外国人の中では、中国人、ブラジル人の割合が高く、この両者で全体の60%以上を占めています。特にブラジル人は製造業従事者の割合が53.6%と最も高く、今回の「ハケン切り」で最も深刻な影響を受けたことが推察されます。なお、「G8、豪、NZ」からの外国人労働者が従事している仕事の第一は、「教育、学習支援」(50.2%)となっており、やはり出身国によって日本での不況の影響も異なるのでしょう。


不況だから外国人労働者はいらない?

さて、この外国人労働者にまつわる問題、目先では「ハケン切り」問題の一部として軽視されがちな問題ではありますが、中長期的には日本の労働力確保にも関わる問題であり、無視できないと思います。 少し前の景気安定期には、「如何に外国人労働者を受け入れて行くか?」という議論があったことも考えると、「不況だから外国人のことは考えていられない」とはならないはずです。


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上のグラフ5をご覧ください。OECDの統計によると、日本での外国人労働者は、その人数こそ90年代後半と比べると少しずつ増加してきているとは言え、労働者全体の中での比率は0.3%程度の超低位安定を続けています。この数字は、同じアジアの韓国に比べても低く、まして欧米諸国と比べるとその差は歴然としています(なお、アメリカは15%、オーストラリアは25%程度)。

もちろん、言語や文化の問題など、日本独自の背景もあるとは思いますし、各国のこれまでの政策の違いがこの差に表れているとも言えるでしょう。一方、中長期で見た高齢化社会における労働力確保のためにも、また広くはグローバルで見た日本経済、日本社会の競争力を上げて行くためにも、外国人労働者の受入とその後の保障、教育訓練等のケアの問題について、今こそ日本も真剣に考えて行くべきなのでしょう。

そして、その土台を作っておくためにも、目の前の外国人労働者の解雇や再雇用の問題に、政府も企業も謙虚に向き合っていく必要があるのではないでしょうか。

(このグラフと記事は、gooマネー・コラム『グラフで見る日本の現状と将来』向けに、提供させて頂いているものです。)



Data source: 厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/01/dl/h0116-9a.pdf)、OECD(http://www.oecd.org/document/3/0,3343,en_2649_33931_39336771_1_1_1_1,00.html

【特集】グラフで見る日本の現状と将来:(2)景気悪化と雇用-「ハケン切り」を考える

日本の景気低迷は長期化の様相を呈し、各企業は生き残りをかけて、思い切った人員削減にまで踏み出しています。特に昨年末より大きな問題となっているのが、非正規職員の雇止めの問題で、主要国の中でも特異な問題として、注目を集めています。

「ハケン切り」とその背景

前回のグラフで、日本の非正規職員比率が、欧米との比較でも非常に高いことを確認しましたが、第2回となる今回は、まずグラフ1でその内訳から見て行きたいと思います。


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グラフ1を見ると、この10年間で、非正規職員全体の人数が増加する中、特に派遣、契約、その他請負といった雇用形態の職員数の増加が、非正規職員数全体の増加につながっていることが分かります。製造業派遣の解禁等の制度上の後押し、企業側の人件費の変動費化の意識の高まり、人々の働き方に関する価値観の多様化等々、様々な要因が考えられると思います。

次にグラフ2(グラフ右下のボタンをクリック!)を見てください。厚生労働省の「非正規労働者の雇止め等の状況について」を見ると、昨年10月から本年3月までに実施済み又は実施予定の雇止めは、2008年12月調査時からたった1ヶ月の間にも、各月で大きく増加していることが見て取れます。このうちの7割弱が派遣職員の雇止めとなっており、これが「ハケン切り」と呼ばれる社会問題の元になっているようです。

次に、派遣労働者について、もう少し詳しく見てみます。グラフ3で明らかな通り、2004年の製造業派遣の解禁をきっかけに、製造業の雇用に不足感が出始めた2005年頃から、派遣件数が大きく増加している一方で、派遣事業全体の売上高は、件数の伸びに比してその最近の成長に減速感が見られます。事実、2007年度の一般労働者派遣事業の平均料金は、前年度比で9.9%減となっており、同時期の景気がまだ悪くなかったことを考えると、その下落は目立ちます。どうやら、「ハケン切り」が始まる以前に、問題の源が潜んでいたようです。

「ハケン切り」対策のヒントは? 

さてこの「ハケン切り」、年末年始よりは最近メディア等で取り上げられる機会も少なくなったものの、前述のグラフ2のような短期間での増加傾向を見ていると、問題は長引くことすらあれ、簡単に解決することは難しそうです。ここでは、さらにグラフを見ながら、問題解決へのヒントを探りたいと思います。 


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まずグラフ4と5を見比べて見てください。地域別に見ると、派遣者数の割合に比べて、雇止めの割合が顕著に多い地域があります。東海や東北といった、製造業の工場が数多く立地する地域で、製造業派遣の見直しや地方の活性化等が今後の課題となるのでしょう。

次にグラフ6を見ると、過半数が3ヶ月以下、2割が1週間以下、という派遣契約の短さが見て取れます。派遣のあり方について見直す上でも、雇用保険等のセーフティネットを考える上でも、ヒントになる数字であると思います。

さらにグラフ3に戻って考えると、そもそも派遣市場の需給バランスの崩壊も、派遣業そのものの今後のあり方を考える上でも、重要な事実であると考えられます。派遣件数の上昇と同時に起こった派遣料金の下落が一体何を示唆していたのか、深く考える必要があるのではないでしょうか。

 

この「ハケン切り」の問題。当然課題はまだまだ山積みながら、日本の社会と経済の活性化のために、政府には是非とも思い切った手を打って欲しいものです。

(このグラフと記事は、gooマネー・コラム『グラフで見る日本の現状と将来』向けに、提供させていただいているものです。)



Data source: 総務省(http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm)、厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/houdou/)、日本銀行(http://www.boj.or.jp/type/stat/dlong/tk/all/down/index.htm)、日本人材派遣協会(http://www.jassa.jp/corporation/databook/databook.html

【特集】グラフで見る日本の現状と将来:(1)サブプライム後の雇用環境-世界の中の日本

アメリカ発の金融危機に端を発した世界経済の低迷は、瞬く間に私たち日本人の足元の雇用まで脅かし始めています。ニュースを見れば、特に昨年後半以降、個別企業のリストラ、派遣切り、賞与カットの話など、雇用に対する不安は高まる一方です。政府による雇用対策の遅れも、この問題の長期化を予感させる、大きな不安要素のひとつになっています。

日本はまだまし?

ただ、このような日本の現状も、数字上で見ると、世界的には「まだまし」の水準のようです。
まず、グラフを見ると、日本の完全失業率は、昨年12月に4.4%と、過去2年間強の3.6~4.2%の間で推移してきた範囲を久々に超える動きとなりました。数字上は、日本の足元の雇用環境は着実に悪くなってきています。


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一方、グラフ2(グラフ1の右下をクリック!)で、主要国の失業率の推移と比較をしてみると、日本の完全失業率の水準は相対的にまだ低く、悪化のスピードも比較的緩やかであることが見て取れます。さらに詳しく見てみると、昨年後半の時点で2003年の水準を上回ってきているのは、アメリカ、イギリスの2カ国だけであることが分かり、金融危機の両国への影響の大きさを確認することが可能です。相対的に見ると、日本の足元の状況は、「まだまし」とも言えそうです(→アメリカに関しての最新の情報は、「1月の米失業率は7.6%、雇用喪失は累計360万人に」を参照)。

それでも日本で雇用が注目される理由

では、このように、数字上は「まだまし」に見える日本で、これほどまでに今、雇用の問題が注目されているのは何故なのでしょうか?もちろん、失業率の数字自体も、アメリカ、イギリスのトレンドと無関係ではいられるはずもなく、今後は悪化して行くと思われます。ただそれ以上に、過去ない規模でのリストラや非正規社員の雇止め、内定取消など、今の日本の雇用体系や雇用慣習、さらには個別企業のモラルとも言える部分までが問われていることが、これほどまでに注目が集まっている大きな要因と言えるでしょう。


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グラフ3にご注目ください。完全失業者数を求職理由別に見ると、ここ最近「非自発的離職」が激増しています。特にその中でも、「勤め先都合」で離職した完全失業者の数が、昨年12月に前年同月比で25万人増となっており、これまでにない形での失業者の増加が見て取れます。この大きな要因として、非正規職員の雇止めの問題が指摘されています。

事実、グラフ4(グラフ3の右下をクリック!)のように、日本の非正規職員数は上昇の一途を辿っており、その比率はここ10年で10%近くもの上昇を見せています。この水準、比率上昇のスピード共に、主要国の中でも群を抜いており(→グラフ5)、日本の特殊性が高いことは明らかです。一体この事実は、日本の将来にどのような意味を持つのでしょうか?

次回はこの非正規職員の問題について、さらにデータとグラフを用いて考えてみたいと思います。

(このグラフと記事は、gooマネー・コラム『グラフで見る日本の現状と将来』向けに、提供させていただいているものです。)



Data source:総務省(http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm)、European Commission(http://epp.eurostat.ec.europa.eu)、US Department of Labor(http://www.bls.gov/data/

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