Category: シリコンバレー通信

【特集】成功企業の法則-秘訣は「2本の矢」にあり

今期で8シーズン目を迎え、相変わらずの人気を保っている’Dancing with the stars’というテレビ番組がある。

日本でも以前、芸能人が大会に向け社交ダンスの練習に明け暮れる姿を追うという番組があったが、この ‘Dancing with the stars’では、有名人とプロのダンサーがペアを組んで、毎回与えられたテーマに合わせてダンスを披露、最後まで勝ち残ったペアが優勝となる。審査員による採点があるものの、次に勝ち進めるかどうかは視聴者による人気投票によって決まる。’American Idol’のダンス版、のようなもの。

ただ有名人と言っても、”もと”プロスポーツ選手とか、”もと”有名だった人(しかもいわゆるB級芸能人)が多いので、ここで育っていないわたしにとっては知らない人たちばかりで、つまらない。そんな理由で今まで見たことがなかったが、今シーズンは面白いメンツがそろっていて何かと話題になっているので、興味本位で番組について調べてみた。

8シーズン目の目玉は Charlie Sheen と離婚したDenise Richards、のはずだったのだが、シーズンが始まったと同時に話題を総なめにした有名人がいる。あのSteve Jobsとアップルを創設したSteve Wozniak だ。

お世辞にもダンスどころか何の運動にも向いていなさそうな体つき、B級スターのように仕事にも金銭的にも困っているわけでもない彼が、何故また恥をさらけ出すようにダンス番組への出演を承諾したのか、???だが、今までの遍歴を見てみると何となく納得がいってしまう。

Steve Jobsはいまやもっとも成功したビジネスマンの一人、健康問題が噂になっているものの、ジョブスあってのアップル、というカリスマ的な存在になっている。その一方でWozniak は、1981年に 自身が操縦していた飛行機で墜落事故を起こし、一時的な記憶喪失に陥る。それが転機となったのか、アップルを引退してからは地元の小学生に向けたIT教育をサポートしたり、若いベンチャーをメンターとしてサポートしたり、レゴで作るロボット大会に参加したり、とジョブスとはまったく違う人生を歩み出したのだ。私生活でもセグウェイに乗ってポロをしたり、女優でコメディアンのKathy Griffinと付き合っていたり、と次々と奇妙な話題を振りまいてきた。

ふと考えると、2人組で起業するケースって結構多い。ここシリコンバレーで言えばヤフー、グーグル、HP、VM Ware、Youtubeなど。アップルの2人のようにその後の人生がここまでが極端に異なることは少なくとも、性格の違いという意味では、少なからず似たような傾向があるようにも思える。

例えばヤフーのJerry Yang と David Filo。Jerry Yangは最近までCEOだったことにも象徴されるように創設以来表舞台にたつことが多かったが、一方のDavid Filo はいまだに会社にいるものの、ほとんど公の場に姿を見せない。メディアとか表舞台が大嫌いらしい。

日本企業の場合はどうだろう。ソニーは技術者 井深大とビジネスマン盛田 昭夫、ホンダは技術型経営者の本田宗一郎と ビジネスマン藤沢武夫のコンビで世界のソニーとホンダを生み出した。その他にも創設者という肩書きにはなっていないものの、陰の立役者、みたいな存在がいたケースは結構多いと思う。

直感的に2人組が1人よりも良いというというのはわかる。多すぎず少なすぎず、意見交換する相手がいながら意見が発散しすぎない。世界の伝説には良く3人組ヒーローが登場するし、「3本の矢」のことわざにもあるように、3人組も多くてもよさそうだが、ビジネスの世界では決定者が2人以上になるとスピード感が落ちるのだろう。

ベンチャーキャピタリストかつエッセーイストの Paul Grahamによるエッセー’The 18 Mistakes That Kill Startups’ の中には、“1人での起業”が“ミステイク”の一つとしてあげられている。2人いれば、いろんなアイディアを議論し合えるだけでなく、間違った決断を下しそうになったときにお互いにストッパーとなれる。ただそれ以上に彼が大きな理由としてあげているのが、精神的な支えとプレッシャー。初期のスタートアップはつらいことの繰り返しで、一人では乗り越えられないことが多い。人間の本性として、「相手をがっかりさせない」というプレッシャーは前向きなエネルギーになって、力を最大限に発揮できる源になるのだと言う。

ただその一方で、”創設者間での衝突”も大きな”ミステイク”としてあげられている。つまり1人よりも2人だけど、もちろん誰でもいいというわけではない。多くの衝突の原因は、ビジネス展開をしていく上でのアイディアや方向性の不一致というよりも、性格自体や2人の関係にそもそもの問題があると言う。例えば馬が合わないのにスキルがあるから、とか、仲が良いから、というだけで一緒に起業するのはもっとも危険で、未然に防ぐべきだと警告している。

では実際に、世の中のいわゆる“成功した企業”は、何人で創設された場合が多いのか?創立者の人数の統計データを見つけたのでここで紹介。2007年時点のデータなので最近のベンチャーは含まれていないのと、全米ならずNokiaやInfosys, Canonなども含まれているのだが、ざっと一覧を見た感じ、少なくとも半分はシリコンバレーの企業のようだ。


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人数に反比例して企業数は少なくなっているが、中でも1人と2人での起業が大半を占めることが分かる。またここで注目したいのが、そもそも1人で起業するケースは飛び抜けて多いだろうということ。つまり成功率を計算すれば、1人のケースの母数は果てしなく高いため、2人のケースの成功率の方が断然高いと想像できる。

話は戻って Wozniak のダンスの成果は、というと、ついに4月1週目に視聴者の十分な投票を得られずに終わりとなってしまった。ただ番組始まって以来の最低スコア(審査員による)記録を出し続けた彼が今まで残れたのも、シリコンバレー中心に形成されるギークたちのコミュニティーの応援があったからだ。
フェースブックでは「 Vote for Woz 」というグループが立ち上がっていたりWozniak が自身のウェブサイトでサポートを呼びかけていたり、噂ではiPhone のアプリケーションまで作られるという話だった。(3月時点で本人が計画を明かしていたが、もう番組に残っていないので実際にリリースされたかどうかは不明)
もちろん前回取り上げたTwitterも最大限利用。奇跡的に4回も勝ち残ったのは、恐るべきギークたちの力と言えるだろう。

Wozniak とJobs、アップルという同じ場所から出発した2人だが、30年以上たってみると、2人の人生はここまで違っている。それぞれ個人的な好みはあるものの、どちらも不幸な人生だと言う人はいないだろう。Jobsはビジネスマンとしての成功者、一方 Wozniak は人生を謳歌している成功者という気がする。人種とかバックグランドの多様性はもちろんのこと、こういう人生感(や価値観)の多様性が、このシリコンバレーをさらに特別な場所にしているような気がする。

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【特集】Twitter - 急成長でFacebook超えなるか!?

去年からシリコンバレーも例外なく、不況のあおりを受けている。今年2月にはカリフォルニアの失業率はこの26年間最低の10.5%(2009年2月)、シリコンバレーの失業率は9.4%まで上昇した。

統計値ってなかなか実感が沸かないことも多いが、今回はちょっと違う。会社での大幅リストラはもちろんのこと、出張費カット、食堂でのランチの値上げ、無料だったソーダの廃止など、日々の生活にもその影響は直撃だ。また、あの王者グーグルでさえいくつかのカフェテリアを閉鎖したり、ランチの質を下げているという話を聞くと、ますますダメージの大きさを実感させられる。グーグルのランチの質って、ある意味シリコンバレーの景気を示す一種の指標のようなものになっていて面白い。5年前はフォアグラ、ギネスビールに海外ブランドのミネラルウォーターだったのが、今はバーガー(でもオーガニックだったりする)、バドワイザーに水道水。それでもただならいいだろうと言いたくなる気持ちは押さえつつも、痛手の大きさを実感させられる。

そんなパッとした話題の少ないシリコンバレーで、最近ひと際業界を騒がせているのがTwitter。騒がしているというよりも、”再び”騒がしている、という方が正確かもしれない。このあたりでベンチャーが騒がれるのにはいくつかのパターンがある。純粋にサービスが伸びたり話題性のあるプロダクトが出た場合と、大型資金調達に成功したり買収の噂が持ち上がったりした場合。それ以外にも投資しているベンチャーキャピタルが何か仕掛けているのでは?と思わざるを得ないようなケースもある。つまり口コミの仕掛人がいるように思えることが結構あるのだ。というのも、特にサービスが変わったわけでもないし買収の話があったわけでもないのに、いきなり記事が増えるケースをたまに見かけることがあるので。Twitterの場合、去年後半から今年始めにかけて、このすべてが一度に起こった印象がある。

Twitterはサンフランシスコを拠点に、2006年にアメリカでサービスを開始。サービスは、’What are you doing?’という質問に答える形式のアップデートを送り合うという至ってシンプルなもの。そのアップデート(通称Tweets)はウェブ経由、テキストメッセージ、インスタントメッセージなどの手段で一斉にブロードキャストされる。つまり友達であろうと、見ず知らずの人だろうが、誰のアップデートでもリアルタイムで受け取れるのだ。

去年の選挙戦をきっかけに、Barack Obama、Hillary Clintonをはじめ、多様な顔ぶれの有名人たちがTwitterを使い始めた。有名人では、Britney Spears、 ツール・ド・フランスで有名なLance Armstrongなど。彼らにとってTwitterはマーケティングツールであると同時に、(特に政治家にとっては)それ以上に若者層を理解しているというメッセージを送る効果が大きい。実際、選挙戦中はもっぱら、アナログなMcCainに対してブラックベリーを使いこなすObamaのテクノロジーに対する理解、つまり若さの象徴として話題になっていたように、政治家にとって若者層との距離を縮めることは常に挑戦なんだろう。麻生総理の漫画オタク宣言のようなものだ。そのような有名人がこぞってTwitterを使い始めたことで、その知名度は急上昇した。ユーザー数を見ても(グラフ1)選挙の行われた11月近辺から急激に増加したのが一目瞭然だ。

グラフ1


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http://www.techchuck.com/2009/03/23/comparing-twitters-growth-to-facebook-and-google/

また個人だけではなく、企業によるビジネス目的での利用も急激に伸びている。例えばCiscoやSun、Wholefoods(オーガニック系の高級スーパーマーケット)が公式アカウントを使って新製品の情報発信などを消費者に送っている。この手の使い道は容易に想像がつくのだが、それ以外にも面白い使い方がはやっている。企業からの情報発信に留まらず、逆に消費者からのフィードバックを得る手段として利用しているのだ。例えばIBMだとしたら、’IBM’という言葉が含まれたメッセージをすべて読めるように設定できる。実際の話として、わたしの知り合いが「近所のFedexステーションが閉鎖して困った〜」という愚痴を何気なくブロードキャストしたら(もちろん友達しか読まないだろうというノリで)、フェデックス公式アカウントから「そのエリアならここにも近いステーションがありますよ」とメッセージが即時に送られてきたらしい。。。また別の知人が何気なくテレビで見ていたK1についてコメントしたら、それ以降K1の公式アカウントが”follower”として彼のTweetsが常にチェックしている。すごいと言うのか、常にモニターされているようで怖いと言うのか微妙なところだが、使い方としては面白い。今までだったら「お客様の声」の収集方法はユーザーが自主的に連絡する場合に限られていたが、Twitterのこのような利用により、気軽な愚痴やポツリとこぼす本音が企業にまで伝わるのだ。

ビジネス目的の利用と言えば、何も大企業に限られた話ではない。最近ロスで夜遊びや飲み帰りの若者に大人気なのが、韓国風タコス(韓国風焼き肉類をタコスと同じ生地で包んだもの?)。 この移動式屋台Kogi(http://kogibbq.com/)も、Twitter経由で人気が出たらしい。数ヶ月で口コミが広がり、 毎日変わる出店場所もTwitterで更新されている。セレブや大企業だけでなく、アントレプレナーが低予算で(ていうかほぼ無料)口コミを仕掛けるには最適な手段かもしれない。

もう一つの利用方法としては、ちょっと大げさに聞こえるかもしれないが、世の中のニュースや、はやりごとのスナップショットが見えるということ。何百人という人たちが今という瞬間に何に興味を持っていて、どういうトピックスについて情報交換しているのか、というキーワードベースのトレンドが見られるようになっているので、ある意味世界で今起こっている出来事のスナップショットが見えてくる。しかも情報が出回る早さはオンラインニュースや検索サービスで探すよりも早かったりする。今年1月に起こった、ニューヨーク市付近ハドソン川での不時着水事故の際も、iphoneで撮影された写真がTwitter経由で、どのメディアよりも早く世の中に出回った。

その他にTwitterがやたらと騒がれるようになった理由、それはFacebookからの買収提案だ。昨年末にFacebookからの5億USドルでのオファーを拒否したが、今年の2月には第3ラウンドのファンディングで3,500万USドルと発表。この不景気の影響で投資を集めるのがどんどん難しくなっている中、このニュースで周囲は「これは何かあるのでは」とさらに騒がしくなった。今もGoogleやFacebookをはじめ買収の噂は絶えない。

それもそのはず、2008年2月と2009年2月を比較すると、1382%という競合の中でも飛び抜けた伸びを見せている(グラフ2)。絶対値ではまだまだfacebookやmyspaceなど大物に及ばないが、成長率でははるかにうわまっている。またTwitterの場合は必ずしもホームページ経由で利用するわけではないし、モバイルからの利用が他に比べても相当多いとされているので、実際の利用者数はもっと多いと推測されている。

グラフ2


tag:

http://www.nielsen-online.com/press.jsp?section=newsletter_em_filter&nav=2

では最後に、コラムの冒頭で触れたGoogleカフェテリアの話じゃないけど、もう少し直感的に彼らのすごさがわかるネタを紹介。

先週の週刊誌によると、女優のJennifer AnistonとミュージシャンのJohn Mayerとの破局の原因もTwitterだったらしい。John Mayerはいつも仕事で忙しくて会う時間がないと言いながら、四六時中Twitterしていたことが発覚。そりゃ有名人でメッセージが公にブロードキャストされるとなれば、彼女に見つからないわけがなく、彼の嘘がばれて破局したらしい。そんなセレブな2人を破局させたTwitter、直感的に大物だなって響きません?

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