世界銀行をはじめとした国際開発金融機関が、リーマン・ショック後の景気低迷や財政難に苦しむ途上国や最貧国への長期資金共有を増やすべく、増資を続けています。先進国の潜在成長率が上がらない中、途上国の成長を促し、世界経済全体としての成長の持続を担保するためにも、必要な動きなのでしょう。
もちろん、途上国からすると嬉しい話ではありますが、逆にお金を出す側からすると、当然負担増となることから各国内での議論が予想されるところ。日本でも、国内でも「事業仕分け」でお金の使い道に厳しいチェックが入っている状況ですから、上記のような国際開発金融機関の増資にどう対応するかは、議論が分かれるところになるのでしょう。
下のグラフは、そんな国際開発金融機関の一つ、アジア開発銀行の出資比率のグラフです。日本は米国と同じく15.6%。今回550億ドルから約1,650億ドルへの増資を予定しているとのことですから、(1,650-550) x 15.6%で、日本は約170億ドルの拠出が求められる計算になります。
ここは、
・戦略的に、アジア地域の成長に深くコミットすることで、地理的にも近いこの地域全体の成長の恩恵を享受する、
・軍事面での安全保障での指導力発揮が難しいからこそ、経済面での支援を通して地域の安定に貢献する、
という視点からも、ここでの存在感は保ってもらいたいなと個人的には思っています。
米国で住宅価格の指数として各メディア、エコノミストが注目するものに、Case-Shiller Home Price Indicesというものがあります。Case-Shiller Home Price Indicesによると、7月は前月比アップ。上昇幅がエコノミストの予測を上回るものだったそうです。
低迷していた米住宅市場も底打ちしたのではないかという期待感があります。
政府の景気対策は住宅購入の分野も例外ではありません。マイホーム購入者に$8,000の税控除が優遇されています(初のマイホーム購入の場合など、様々な制約があります)。このプログラムは11月末までに購入した場合のみ適応されます。
さらに、米国では春から夏にかけてが住宅販売のピーク、夏が引越しのピークです。
したがって、7月の住宅価格指数が上昇したのは、政府の景気対策の恩恵を多かれ少なかれ受けたかもしれません。これは、米政府による景気対策、Cash for Clunkers、により自動車販売がいったん上昇したのと同じ効果があったかもしれない、ということです。
表面的には明るいニュースのように見える一方、前年同月比ではまだ10%以上低く推移、6年前の2003年の価格レベルだそうで、まさに『失われた6年』。
$8,000の税控除効果が切れた後の12月以降の指数が注目されます。
そこで、Case-Shiller Home Price Indicesのうち、米20都市、10都市から成り立つ、Index Composite 20, Index Composite 10の、1987年からの推移をグラフにしてみました。
こうしてみると、1991年から1996年末までの約6年間は価格がフラットだったんですね。それからドットコムバブルが特にアメリカの西海岸を潤し、上昇する一方の住宅価格とサブプライムローンによるイージー・マネーが米国の消費者の消費行動を誘発し。。。。
果たして2003年の価格レベルが妥当かどうか、疑問に思ってしまいます。
注釈: Case-Shiller Home Price IndicesはKarl Case氏とRobert Shiller氏が考案した指数。米国は、古い住宅でも内装がアップグレードされ、売買が何度も繰り返されます。100年以上前に建てられた住宅が今でも よく見かけられ、古い建物は非常に味があり丈夫です。Case-Shiller Indicesは、このように繰り返される中古住宅販売価格も彼らが考案したあるメソッドにより考慮されているものです。
【リーマンショックから1年~世界の変化を可視化する~】特集はこちらから
【関連コラム】
住宅価格の上昇とその終焉
サブプライムローン拡大の背景
米リーマン・ブラザーズ証券が破綻してから1年以上が経ち、様々な統計データから世界経済低迷が底打ちしたという、ある一種の安心感を持ち始めた人も多いのではないでしょうか。
米国では住宅統計は景気の動向を示すもの一つとして、毎月データが公表され新聞等のメディアで必ず目にするものです。代表的なもはCase & Shiller Indexですが、Zillow Home Value Indexという統計もあります。
Zillow.comはもともと、オンライン上で住宅の売買の支援サービスを提供するベンチャー企業でした。ここが公表するデータも、最近では大手経済新聞メディアなどで取り上げられるようになるまでの地位を築き上げました。
Zillow Home Value Indexと米30年の住宅ローン金利の過去約10年のデータをグラフで可視化してみました。
こうしてみると、米国住宅価値のピークは2006年代で、リーマンショック前から価格が下がりはじめていたのが分かります。
リーマンショック後、政策金利が下げられ、住宅ローン金利も随分下がりました。当然のことながら、それだけでは落ち込んだ住宅販売が活発になりません。
リーマンショックから1年後の今、米国の住宅価値は2004年のレベルです。2006年のピークに住宅を購入した人は住宅価値を大幅に上回る住宅ローンを抱えていることになります。
『景気が回復方向に向かっていると聞くが、まったくそういう気がしない』とアメリカ人がよく口癖に言いいます。
株式市場もマクロ経済統計も回復傾向に向かっていことを示唆する数値が出ていても、個人レベルでは、解雇され仕事を失う人は一向に減らず、なかなか職が見つからないという人の話は当たり前。減給や福利厚生を減らした企業も、不景気になる前のレベルに引き上げたわけではありません。
住宅の価値が上昇する一方で、それを担保にお金を借りて消費に走ったアメリカ人のバブル生活は、ある意味夢の中の生活で、二度とあのような状況には戻らないのかもしれません。
アメリカ企業も、これを機に一度締めたベルトは二度と緩めないかもしれませんね。
【リーマンショックから1年~世界の変化を可視化する~】特集はこちらから
【関連コラム】
効き目溢れる政策の一方、その反動に注意!
住宅価格の上昇とその終焉
オーストラリア準備銀行(RBA)は10月6日の理事会で、政策金利を0.25%引き上げ、年3.25%とすることを決めました。世界的な金融危機と景気低迷の中、2008年3月以来、豪では利下げが続き、今年2月までに合計4.25%もの引き下げが行われていました。それ以来の利上げですから、実に1年7ヶ月ぶりとなります。今回の危機後の局面で、日米欧を中心とするG20各国の中では初めての利上げとなるそうです。
今回の利下げですが、大方の市場予想は据え置きだっただけに、為替相場への影響も大きそうです。
同日、RBAのスティーブンス総裁は、「豪経済は最悪期を脱し、金融緩和による刺激を弱める時期に来た」とする声明を発表しています。G20の中でも先行して利上げに転じた豪に続き、今後は世界の中央銀行でも政策を緊急対応から平時に戻す「出口戦略」の時期や手法が焦点になる見通しです。
先進諸国の中でも豪は経済危機からの回復が最も早く、過剰とも言われる景気刺激策による影響で、ここ数ヶ月で住宅価格が過去最高水準に達するなど、資産バブルの兆しも見え始めていたようですので、今回の利上げも頷けるところです。一方、まだ2番底が懸念される日米欧各国でも、一部「出口戦略」を意識した動きも見られ始められましたが、豪のようなよほどのサポート材料が無い限りは、出口へ急ぐことだけは避けてもらいたいものです。
→「リーマンショックから1年 ~世界の変化を可視化する~」はこちら!
【関連リンク】
・各国の為替レート
・リーマンショックとは?
・リーマンショックから1年間の出来事
2009年も残すところ3ヶ月ちょっととなりました。今年は、世界同時景気不況の深刻化に伴って、企業の間では雇用調整、賃金カットといった就業制度の見直しなど、企業における環境が大きく変化しました。解雇や収入減などにより、私達一般消費者の生活も、不況に柔軟に対応するために調整しなければなりませんでした。
と、色々暗いニュース続きでしたが、不況のおかげで良くなったこともありました!
International Energy Agency(以下「IEA」)『国際エネルギー機関』の調査によると、「100年に1度の危機」とも言われている今回の経済不況の”おかげ”で、温室効果ガス排出量(greenhouse gas emissions)が減少したとのことです。
特に、化石燃料の消費で放出される二酸化炭素の排出量が過去40年で最大の減少。1981年の不況時よりも減少したそうです。
不景気に伴い、世界全体の工業生産高の減少や、需要の減少や資金不足で石炭火力発電所の建設が棚上げされたことなどをIEAは要因にあげています。
さらに、欧州による2020年までに排出量20%カットを目標とする政策、米国の自動車排気ガス削減政策、中国によるエネルギー効率の向上を図る政策なども効果を挙げているとIEAは示唆しています。
今年12月にデンマークのコペンハーゲンで開催される予定の『気候変動枠組条約締約国会議』前の11月に、IEAは正式な調査報告書とデータを公表する予定にしているそうです。
OECD 『経済協力開発機構』が公表する、燃料の消費で放出される二酸化炭素の排出量データをグラフで可視化してみました。
OECDのデータ(1971年から2006年まで)で石油燃料による二酸化炭素の排出量の推移を各国間で比べてみました。これ、という理由はないのですが、米国、中国、日本、ドイツ、フランスで比較。こうしてみると、米国は本当に高い水準。中国の排出量の増加が。。。恐ろしい。Beijingに行くと空気がグレーで目が痛くなる、というのを聞いたことがありますが、納得できます。
それに比べ、日本、ドイツ、フランスは優秀ですね。
【IEA HPのトップページに調査結果の速報ニュースが載っています】→ http://www.iea.org/
【このブログに埋め込まれているようなグラフは、グラフ共有サイトvizooで検索、作成、複製、タグを得ることが可能です!】 → http://www.visualzoo.com
【関連グラフ】
三菱重工が「CO2を9割減」の石炭火力発電所 欧州に建設
消灯で温暖化ストップ
太陽熱を冷暖房に
【レーザーテック】おそろしやエコブーム 太陽電池
日産自動車とクライスラーは米国現地時間の26日(日本時間27日)、2008年に発表した、以下3つの車両供給に関するOEM契約の解消に合意したと発表しました。
1. 日産からクライスラーへ本年より南米市場向けに小型セダンを供給。
2. 日産からクライスラーへ2010年よりグローバル市場向けに小型車を供給。
3. クライスラーから日産へ2011年よりフルサイズピックアップトラックを供給。
2008年のOEM契約締結以降、事業環境の著しい変化を踏まえ、両社間のOEM契約を解消することが双方にとって最善であるという結論に達した模様です。クライスラーは小型車に強いフィアット傘下に入ったので、まあ当然といえば当然の帰結でしょうか。
日産は提携解消に伴い、北米戦略を見直す意向で、燃費の良い小型商用車を来年から米市場に本格投入するとともに、クライスラーから調達予定だった大型ピックアップトラックは自社生産の継続か他社からの調達かを検討し直すようです。
日産からクライスラーに供給予定だった小型車については、単独での販売でも拡販に影響ない、とのことで、まあそうかな、という気はしますが、ピックアップトラックについては微妙なところでしょう。
もともとピックアップはDetroit3の牙城であり、日系のシェアは相対的に低いですが、トヨタの「タンドラ」がまずまずの販売成績であるのに対し、日産の「タイタン」の売れ行きはいまひとつです。
自社生産にこだわらずにどうせならダントツトップのフォード「Fシリーズ」の供給を受けるか、敢えてラインナップにこだわらずに、ライトトラック市場から撤退しカー市場(小型・中型)で勝負するというのも一つの選択肢だと思うのですが。。。
【このグラフはグラフ共有サイトvizooで閲覧可能です!】
日産自動車がクライスラーと提携解消
【関連グラフ】
日産グローバル生産台数の推移
自動車メーカー 北米売上高の比較
自動車メーカーの収益は北米次第
日産とプーチンの蜜月?!