昨年の株価の大暴落時に機関投資家・外国人投資家に変わる株式市場の支え手として個人投資家が注目されました 。証券会社の口座解説数も急増するなど、はじめて株式デビューした投資初心者も多かった と思われます。
そんな個人投資家に向いているのが個別銘柄の日々の動向に一喜一憂することなく、日本株全体に広く薄く投資することができる投資信託やETF かと思います。しかし、いざETF(指数連動型投資信託)を買おうと思っても多すぎてどれを買ったらいいかわからない、なんてことになりがちです。なぜなら、毎日ニュースで流れる日経平均株価の連動型ですら5銘柄もある のですから。
さて、個別のETF間に差はあるのか?ということで、日経平均株価連動型ETFと日経平均株価の年初来からの価格推移を比較してみました。あまりに長期にすると配当落ちの影響(ETFによって配当の実施有無や配当額に差がある)や、日次のずれが蓄積されていってしまう懸念があるためです。今回はETF元年である2001年から上場している「1320 ダイワ上場投信-日経225 (大証)」「1321 日経225連動型上場投資信託 (大証)」「1329 iシェアーズ日経225 (東証)」「1330 上場インデックスファンド225 (東証)」をグラフにしてみました。(黒が日経平均株価 )
http://www.visualzoo.com/graph/18917
上のようにグラフにしてみましたが、やはり連動型というだけあってほぼ同一の値動きをしていますね。しかし、個別の銘柄ごとに見てみると青色の「iシェアーズ」がやや乖離が大きい時期があるように見えます 。そして緑色の「日興(上場インデックスファンド)」も日経平均より下振れしたり上振れしたりしている様子が見えます 。日経平均が大きく動いたときを除けば「大和」や「野村」はほぼ同一の動きをしているようです。指数連動型ETFといっても日経225の構成比率どうりに銘柄を保有しているわけではないので多少のばらつきはあるのは当然ですが、指数との一致度という点で見ると大証勢(大和、野村)が東証勢(iシェアーズ、日興)よりもすぐれているといえそうです。
【関連グラフ】
【株価指数】日経平均株価(日経225)
上場企業の第1四半期の決算発表が続いています。各社共に、世界的な景気低迷で引き続き厳しい事業環境が続いてはいるものの、底を打つ、もしくは打った兆しも少しずつ出始めてきていて、総じて「悪いとは分かっていたけれど、最悪シナリオにはならなさそう。。。」との一種の安堵感を感じられる内容となったところも少なくありません。そして、その「最悪シナリオ」で通期の予想を発表していた企業の中で、若干の上方修正の動きが見え始めている のもポジティブな話題の一つです。
昨日8月4日(火)に第1四半期決算と通期予想修正を発表したトヨタも、そんな企業の中の一つかと思います。
まず終わった第1四半期は、営業利益で1,949億円の赤字 となりました。前年度第1四半期が4,125億円の黒字でしたので、単純な前年同期との比較では6,074億円の損益悪化となりますが、事前に3,000億円以上の営業赤字を予想していたアナリストも複数いたことを考えると、悪くない数字と言えるでしょう。決算資料から、6,074億円の損益悪化要因の主な内訳を見ると、「台数・構成等の影響」が6,500億円、「為替変動の影響」が1,400億円、それぞれ減益要因となったものの、「原価改善努力」と「固定費の削減」中心の緊急収益改善策により、2,300億円の増益要因を作り出した 形になっています。この収益改善努力を続けながら、政府の支援策や消費の回復等による販売、生産の回復を待つ、というのが現状のシナリオなのでしょう。
同時に上半期と通期の業績予想修正も発表されています。結果、この通期の連結営業利益予想は、8,500億円の赤字から7,500億円の赤字へと、1,000億円の上方修正 です。従来予想との比較では、日本での連結販売予想が10万台引き上げられて202万台となり、その効果を主として「台数・構成等の影響」で+500億円、「原価改善の努力」で+200億円、「固定費の削減」で+300億円、それぞれ上方修正の要因となりました。国内でのプリウス等の好調や、今回販売予想引き上げがなかった米国市場も、政府のエコカー支援等で少しずつ改善して来ていることを考えると、さらに通期の営業赤字を改善していく余地も大いにあるのだと思います。
トヨタの復活は、日本企業全体の復活をも想起させる大きな意味を持つだけに、引き続き期待感を持って見て行きたいと思います。
【このグラフへのリンク】
http://www.visualzoo.com/graph/18289
【関連グラフ】
・それでも世界販売1位のトヨタ
・トヨタがマツダとハイブリッド分野で提携
・業界色々・自己資本比率
・自動車産業の粗利率と売上
経営再建中の米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は、現地時間29日、カリフォルニア州フリーモントのトヨタ自動車との合弁事業を打ち切ると発表しました。
この合弁事業は、New United Motor Manufacruting, Inc. (NUMMI)。1984年12月から生産を始めた、トヨタの北米事業の中で最も歴史のある事業のうちの一つです。2008年12月末時点で従業員数4,519人、トヨタ車両生産実績が27.1万台で、アメリカでのトヨタ車両生産実績全体の24%を占めていました。昨年来の世界景気悪化で特に影響の大きかった北米での出来事なだけに、トヨタにとっては頭の痛いニュースとなったのは間違いないでしょう。
グラフを見ると、トヨタにとっての最近の北米事業の厳しさが、一目瞭然です。連結の販売台数は、四半期ベースで2000年代の最低水準まで落ち込み、海外他地域と比べてもその販売台数の下落は顕著です(グラフ1)。さらに、所在地別の実績を見てみると、2007年度まで日本に次いで大きな営業利益を稼ぎ出していた北米が、2008年度は最低のレベルにまで落ち込み(グラフ2)、2008年第2四半期以来続く営業赤字の解消が急務となっているのが見て取れます(グラフ3)。このように、ただでさえ販売不振で、北米での生産能力が大幅な過剰となっている中、GM抜きで単独で工場を続ける負担はあまりに重いのが現実です。
豊田章男新社長率いる新生トヨタ経営陣。ほんの1週間前に正式発足して早々、難しい決断を迫られることになります。GMが引き上げる50%出資分を買い取って生産を続けるのか、他の提携先を探すのか、それとも撤退か。。。GMによる生産停止が8月末に迫る中、トヨタに残された時間はそう多くはなさそうです。
【このグラフへのリンク】
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GM、トヨタとの合弁解消を発表。新生トヨタ経営陣の取るべき道とは?
【関連グラフ】
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トヨタのクルマ、海外生産ランキング
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トヨタ、地域別売上高推移
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エコカー補助金制度は何のための施策?
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中国、新車販売台数増加
本日6月30日(火)の10:30、経産省は、エルピーダに対して、公的資金を活用した資本増強支援の適用を発表しました。今国会で成立した改正産業再生法で新設した出資支援措置の認定第1号 となります。
具体的な支援パッケージとしては、日本政策投資銀行(政投銀)が 、財政資金で将来の出資損失の80%を補てんしてもらえる契約付きで、300億円を8月に出資 。さらに政投銀が出資に併せ100億円を融資するほか、三菱東京UFJ銀行など4行が中心になって1000億円を協調融資。加えてエルピーダは、台湾当局主導で2009年度に設立される台湾メーカーの統合会社からも200億円の出資を受ける予定で、これも合わせると、官民で総額1,600億円の資金支援 となります。
今回エルピーダは、「国内唯一のDRAMメーカー」 として、その経営悪化が市民生活、産業活動に重大な影響を及ぼすことを理由として支援が決定したようですが、今後は業績回復と言う重要な責務を負うことになります。会社は、今回の総額1,600億円の支援で、研究開発と設備投資を行い、財務や生産効率改善によって国際競争力の強化を狙っていますが、これまでの実績からもその結果が収益に結びつくかどうかは価格動向次第。そして、株価の回復、すなわち今回の政府支援の成功も、その業績回復にかかっています 。
グラフの通り、エルピーダの業績はこの6四半期連続で営業赤字が続いており、株価もそれに見事に連動する形で下落を続けました。このグラフだけを参考にすれば、営業損益トントンでも、株価は現状の4倍。米国で自動車業界に注がれたような社会批判を受けないためにも、
今後はしっかりと実績を見せることが求められます 。
【このグラフへのリンク】
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エルピーダへの公的支援が正式決定。長期低迷からの復活なるか?!
【関連グラフ】
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半導体2社:営業CFと投資CFの推移
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【会社概要】エルピーダメモリ(6665)
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【株価】エルピーダメモリ(6665)
半導体製造装置、太陽電池製造装置等の開発、生産を手掛けるアルバック(6728)の株価が、本日買い気配から始まり、年初来高値を更新 しているようです。今朝一部メディアで報じられた、世界最高性能の薄膜太陽電池を量産できるシステムを開発、とのニュースが材料 となり、将来の業績清を期待した買いが入っている模様。確かに、何でも2010年6月期に受注1,000億円を目指すとのことですので、直近期の売上高が連結全体で2,400億円強の同社にとってのインパクトは、実現すれば相当なものと考えられます(今回のニュースに関して、会社側は同日朝の時点で「当社として公表したものではございません」とのコメント )。
太陽電池の大規模な普及には、変換効率の上昇が一つの鍵 とされています。変換効率とは、太陽電池に注がれた光エネルギーのうち、何%を電気エネルギーに変換できるかを表した数字で、これまでは一般的に「結晶型」の方が「薄膜型」よりも優れるとされてきました。一方で、「結晶型」は原料コストが高いこともあり、
近年は「薄膜型」が少しずつシェアを伸ばしてきた 経緯があります(→詳細は、2009年3月27日vizlog記事
「【特集】グラフで見るニュースとトレンド:(4)めざせソーラーにっぽん!~太陽光発電の将来性と、それを取り巻く日本企業に注目する~」 を参照)。
事実、太陽光発電協会のデータを見ると、2008年度の日本における太陽電池出荷量の伸び(前年同期比)は、単結晶、多結晶の
「結晶型」が、それぞれ+17%、+22%なのに比べて、「薄膜型」は+40% と、前年度に引き続き一番高い伸びとなっています。
今後
より一層の「薄膜型」普及へのポイントは、この変換効率を高めることができるかと、製造コストを下げるための大量生産技術が出来るかにある と言われてきただけに、今回の報道が本当であれば、同社だけでなく、日本の太陽電池業界全体にとって大きな話となります。今後の会社の正式発表に注目して行きたいと思います。
【このグラフへのリンク】
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アルバック(6728):2009年年初来の株価推移
【関連グラフ】
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太陽電池、国内よりも海外へ
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シャープ(6753):上場来初の営業赤字転落と今後②
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太陽電池の販売高と部門別営業利益
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【事業別売上高】京セラ(6971)
前期の決算発表が大詰めを迎えています。2007年度までは好調を維持してきた日本の上場企業各社も、前期2008年度は大きく下振れし、今期の会社予想でも厳しい見通しが相次いでいます。そんな中、食品大手は20社中、実に15社が営業増益予想 とされるなど、業界として注目を集めています。まずは、その中の数社の前期までの業績推移を可視化してみます。
東洋水産
「マルちゃん」ブランドで有名な同社、前期まで2期連続して増収増益ですが、
今期も約2%ずつの増収増益予想で、達成されれば過去最高益 となります。折からの不況で外食回避→自宅での料理のトレンドが続いており、生めん等で強い同社にとっては追い風となっているようです。
味の素
海外基盤も強い同社は、その海外で円高の影響を受ける等、前期は減収減益となりました。ただ、
今期は約3%の増益予想 とされるなど、着実な回復が想定されています(味の素の海外事業に関しては、
vizooグラフ「味の素と醤油はどっちがグローバルか?」 を参照)。
以上、大手各社で今期の増益が予想される中、今後の株価の推移を占ってみます。まずはここ1年の株価の実績から。
ここ1年間の株価推移を日経225ETFと比較すると、各社総じて市場平均をアウトパフォームしてきたことが分かります。上記の通りの堅調な業績予想の会社も多く、
昨年来地道に続けてきた値上げの努力が功を奏し、折からの原料安や、不景気に伴う外食減→家庭料理への回帰も、各社にとっては追い風となった ようです。
一方、懸念材料も多いのが現状で、それは原材料費や為替の動きから、値上げの浸透など様々ですが、中でも、
顧客層のさらなる低価格志向化が最も大きなリスク と考えられます。顧客の中で、ブランド品より、より安いプライベートブランド(PB)の人気が高まる中、小売大手各社は、これを武器に食品大手各社に値下げを迫っており、このせめぎ合いがどう決着するのかが、今期の食品大手を見る上でのカギとなるのでしょう。
皆さんは、PBとブランド品、どちらを選びますか?その答えを考えることが、今期の食品大手の今後を占う、大きなヒントになるかも知れません。
このブログに埋め込まれているグラフは、グラフ共有サイトvizoo上で閲覧可能です!
http://www.visualzoo.com/graph/8563
http://www.visualzoo.com/graph/8535
http://www.visualzoo.com/graph/13207
東洋水産、味の素以外の業績推移もご覧頂けます→http://www.visualzoo.com/